土づくりにかけた半世紀
ここ信州松川町は、南アルプスと中央アルプスに囲まれ、天竜川が流れる自然豊かな地。標高670m、見晴らしのよい高台にある宮澤農園では、祖父母の代から果樹栽培が始まりました。
かつては田んぼと桑畑に囲まれた農村でしたが、時代とともに果樹園へと変化。養蚕から果物へ、祖父母の葛藤を乗り越えながら、りんご狩りの導入や規模の拡大を進めてきました。
父の代では、有機肥料による土づくりを仲間とともに追求。「ミミズのいる元気な土」を育て、子どもたちがそのままかじっても安心な果物づくりを実現しています。
〜四季の風景とともに〜
宮澤農園の一年は、秋の収穫を終えた瞬間から次の果物作りが始まります。自然のリズムに寄り添いながら、季節ごとに表情を変える農園の風景とともに、その歩みを紹介します。
冬(12月〜3月)
実りを終えた木々が静かに眠る冬。12月には木の周囲にワラを敷き、油かす、鶏ふん、海藻などの有機肥料を与えて、来年に向けた土壌づくりが始まります。雪の降る中、凍える手で剪定作業を続ける1〜3月。果樹の骨格を整える大切な作業です。
春(4月〜5月)
桜の花が咲き誇るころ、果樹園も一気に色づき始めます。梨の花、りんごの花が次々に咲き、畑全体が白くやさしい香りに包まれます。受粉から10日ほどで小さな実が顔を出し、ここからは摘果と除草作業のスタート。日ごとに気温も上がり、果樹たちが目覚めていく季節です。
夏(6月〜8月)
果実はぐんぐん大きくなり、農園は活気に満ちあふれます。摘果作業、草刈り、水やり、日差し対策…毎日が自然との対話。農園の木陰では、子どもたちがブランコで遊び、ニワトリが自由に歩き回る姿に癒されながら、暑さと共に作業が続きます。
秋(9月〜11月)
いよいよ実りの季節。赤や黄に色づいたりんごたちが、枝先で太陽の光をたっぷり浴びています。朝霧の中での収穫作業や、りんご狩りに訪れるお客様とのふれあい。毎年この瞬間のために、私たちは一年をかけて準備をしてきました。「おいしいね」の一言が、何よりのごほうびです。